トヨタの車名は、ギリシャ語やラテン語・英語などの外国語から派生してきたものが多く、それぞれの名前にしっかりとした意味がある。最近でこそランクルに300・250・70と数字が並び、GR86なんていうモデルもあるが、トヨタが車名に数字を使うのは、かなり珍しいことなのだ。そんな数字が使われた車名は、過去にもいくつかある。トヨタの中では希少な存在である、数字が名前に使われたクルマを振り返っていこう。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】国宝認定すべきトヨタの傑作旧車たち! 伝説のヨタハチ、2000GTにコロG大集合!(18枚)画像ギャラリートヨタ初のライトウェイトスポーツカー
数字のトヨタ車と言えば、真っ先に思い浮かぶのがトヨタスポーツ800ではないだろうか。見かけだけではない高性能を引っ提げて、1965年に登場する。
790㏄という小排気量エンジンを搭載しながら、ボディを徹底的に軽量化することで走行性能を高めた一台だ。まさに軽さが生み出した高性能。車両重量は驚異の580㎏で、ライバルだったホンダS600よりも115㎏も軽かった。
航空機開発のノウハウを詰め込まれた100マイルカー。スポーツという名称と排気量の800という数字は、トヨタの本気のスポーツモデルにしか許されない、栄光の組み合わせだ。
ヨタ最高技術の結晶! ボンドカーとして銀幕デビューも
トヨタスポーツ800の登場から2年後、夢のスーパーカーが市販化された。それがトヨタ2000GTだ。
本格的なスポーツカーは何もかもが新規開発。ただ、スポーツカーという特性上、販売台数が見込めないためコスト面を考え、トヨタはヤマハ発動機との共同開発を選択している。
日本車では初採用となった電動式のリトラクタブルヘッドライトや、左右フェンダーの七宝焼エンブレム、軽量なマグネシウムホイールなど、超高級スポーツの名に恥じない佇まいがあり、当時の価格で238万円という高額な車両価格も納得だった。
しかし高価格過ぎたため販売台数は伸びることなく、僅か337台で生産を終える。ただ、トヨタの魂がのった2000GTは、世界にトヨタの技術力を示した。
2000GTの弟分はコロナGTと呼ばれることも
2000GTが登場したのと同年、3ヶ月遅れて弟分が現れる。それがトヨタ1600GTだ。
外観はコロナ・ハードトップとよく似ているが、フェンダーミラーが砲弾型になり、フェンダーにエアアウトレットが設けられ、2000GT譲りの七宝焼エンブレムが奢られる。また、5速MTは2000GTからの流用であり、シートも2000GTと同じだった。1600GTはハコ車のカタチはしているが、中身は本気でレースに出るためのクルマだったのだ。
それでも後席の広さは十分で、ファミリーカーとしても使えないことは全くない1600GT。約1年という短い販売期間だったが、その間に2222台も売れたのは、本格スポーツモデルとしては申し分ない数字だろう。
数字の車名を使うときはトヨタがマジになったとき
昭和40年代に並んだトヨタスポーツカーの800・1600・2000の数字。これは令和の今70・250・300と並ぶランクルシリーズに受け継がれているのではないだろうか。スポーツモデルは排気量で、ランクルシリーズは車両型式という違いこそあれ、トヨタが車名に数字を用いる時、それは並々ならぬクルマへの深い思いがある時だ。現行モデルではGR86にも熱いスポーツ魂が感じられる。
これから先も、あまりお目にかかる機会はないであろうトヨタの数字車名。もしもスポーツ800や2000GTのような数字の名前が復活したら、そのクルマは間違いなくトヨタにとっての最高傑作となるはずだ。
新型車が登場する時には、ぜひその車名にも注目してほしい。
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