一灯ずつ、順に光が走るように点灯する「流れるウインカー(シーケンシャルウインカー)」。その華やかさから、各自動車メーカーが、一時期さまざまな車種に採用していましたが、最近は採用する車種が減りつつあります。
ただ、新型車に全く採用されなくなったかというとそうではなく、たとえば、2023年6月に登場したトヨタの「アルファード」/「ヴェルファイア」では採用されるなど、クルマによって対応が違っています。瞬く間に普及していった流れるウインカーの消えた理由と現在をご紹介しましょう。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】あえて採用!?? 絶滅寸前に思われたシーケンシャルターンランプが残されたトヨタ「アルファード」/「ヴェルファイア」(21枚)画像ギャラリー鮮烈な印象を与えた流れるウインカー
一時期はレクサスやトヨタ、フォルクスワーゲン、アウディなどを中心に盛んに採用されていた、流れるウインカー。正式名称は「連鎖点灯式方向指示器」といい、LEDを一定方向に順番に光らせることで、まるで光が流れているかのような視覚効果を生み出しているものです。
この機能が初めて注目されたのは、2009年に登場したアウディA8。堂々としたフラッグシップサルーンで、躍動感のあるウインカーが点灯する様子は、当時のクルマ好きに鮮烈な印象を与えました。読者諸氏においても、流れるように光るウインカーに、憧れた人は少なくなかったのではないでしょうか。
その後日本でも、レクサスがLXやLS、RX、NXなどに相次いで採用し、トヨタでも2016年のC-HRから採用をスタート。日産やホンダ、ダイハツなどもそれに続き、その広がりは軽自動車にまで波及していきました。
目新しさがなくなったことで特別感がなくなった
しかしながら、その勢いは長くは続きませんでした。レクサスでは、すでにNXやRX、LXでは採用を取りやめており、現時点レクサスで採用を継続しているのはLSのみ。トヨタ車も、ハリアーは最新型では採用を取りやめています。
当初は目新しさで普及した流れるウインカーですが、一気に普及したことで目新しさがなくなり、もともとは高級感を演出するための装備だったのが、軽自動車にも採用されるようになったことで特別感もなくなってしまいました。流れるウインカーに関してはまた、ネガティブに捉える人も少なくなく、流れるように光るところが「デコトラ」にみえたり、工事現場のライトを想起させるという意見もあったこともあり、こうした事情を考慮して、メーカーとして採用をとりやめていったものと思われます。
クルマによって「似合う」「似合わない」がある装備
ただ、冒頭でも触れたように、2023年6月に登場したアルファード/ヴェルファイアでは採用が継続されました。
アルファード/ヴェルファイアは大柄で堂々としたボディと押し出しの強いフロントフェイスが特徴的ですが、そこに流れるウインカーによる動きが加わることでさらなる存在感を演出でき、むしろ流れることでより完成度が高まるという印象もあります。要するにめちゃくちゃ「似合う」のです。前述した「デコトラ」や「工事現場」という印象も、アルファード/ヴェルファイアの迫力あるエクステリアの前では薄まります。
比較的装備しやすかったことで、軽自動車まで普及していった流れるウインカーですが、クルマによって「似合う」「似合わない」がある装備だったということでしょう。流れるウインカーが設定されなかった先代アルファード/ヴェルファイアでは、ユーザーがカスタムで装備していた事例が多かったことから、そうしたユーザーの期待に応えるため、という面もあったと思われます。
今後流れるウインカーは、そのクルマのキャラクターによって、採用不採用が決まっていく装備となっていくのではないでしょうか。
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